前夜7月23日の東京・国立競技場で行われた東京オリンピック開会式で、女子テニス日本代表の大坂なおみが最終ランナーとして聖火台に灯した聖火は、日付が変わってまもなく、お台場と有明の間にかかる夢の大橋に移った。1年4カ月かけて東京に到着した聖火だが……
Tokyo 2020(東京オリンピック・パラリンピック)大会の聖火は、2020年3月12日、古代オリンピック発祥の地ギリシャのヘラ神殿跡での採火式から始まり、ギリシャ国内のリレーを終えると、同19日に日本の大会組織委員会に引き継がれた。同20日、宮城県の航空自衛隊松島基地に到着すると、「復興の火」として2011年3月の東日本大震災で被災した宮城県内で順次展示され、同26日に福島県のJヴィレッジでグランドスタートを迎えるはずだった。
だが、同24日、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、日本側とIOC(国際オリンピック委員会)が1年の延期に同意し、聖火リレーも1年延期に。2021年3月25日、Jヴィレッジからスタートしたものの、5月以降は公道レースをほぼ中止し、限定されたコースやセレモニーだけで国内を回ってきた。
7月23日、東京都庁前広場でのセレモニーで、俳優の中村勘九郎さんが都内最終ランナーとして聖火皿に点火。約10500人のランナーによってつながれたこの聖火が、同日夜の開会式の最後、柔道男子・野村忠宏氏とレスリング女子・吉田沙保里氏の五輪3大会金メダリストペアによって国立競技場のフィールドに持ち込まれた。長嶋茂雄氏、王貞治氏、松井秀喜氏らを経て、最後に大坂の手により、約1年4カ月…498日をかけてオリンピックスタジアムの聖火台に灯された。
大役を果たした大坂は自身のSNSに「今後の人生の中で、アスリートとして、最も最高に名誉なこと」と興奮を伝え、連続で投稿していた。
国立競技場の聖火台に灯された聖火は、朝を待つことなくお台場と有明にかかる「夢の大橋」に設置された常設聖火台へと移された。国立競技場の聖火台の小型版といえるもので、直径約1.2メートル、高さ約0.9メートル。太陽をモチーフとし、生命力や希望を表したものだという。大会期間中、聖火を灯し続けるため、長期間の連続燃焼に適した液体水素を使用する。
当初の計画では、競技会場が集中するお台場・有明の臨海副都心エリアにおいて、大会と並行したパートナー企業によるイベントプロジェクト「TOKYO WATERFRONT CITY」が予定され、夢の大橋の聖火台もその象徴的モニュメントになるはずだった。しかし、東京都の緊急事態宣言(8月22日まで)を受け、プロジェクトは中止に。聖火台は引き続き設置されるものの、組織委員会は密を避けるために観覧自粛を呼びかけている。
同聖火台は、オリンピック開催期間の同24日から8月8日、パラリンピック開催期間の8月25日から9月5日まで点灯される予定だ。
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