世界王者チェンが五輪初制覇、日本勢は鍵山が銀、宇野が銅、羽生は4位:北京五輪第7日目

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

世界王者チェンが五輪初制覇、日本勢は鍵山が銀、宇野が銅、羽生は4位:北京五輪第7日目 image

フィギュアスケート男子の銀の鍵山優真、金のネーサン・チェン、銅の宇野昌磨

現地時間2月10日、北京冬季オリンピック第7日目、フィギュアスケート男子シングルのフリースケーティングが行われ、世界王者ネーサン・チェン(米国)が圧巻の内容で優勝。日本勢は18歳の鍵山優真が銀メダル、平昌五輪銀の宇野昌磨が銅メダルを獲得した。羽生結弦は4回転半ジャンプで転倒するも4位で競技を終えた。

"4A"挑戦にこだわった羽生

8日のショートプログラム(SP)でリンクの穴にはまり、4回転ジャンプが1回転になり、95.15点で8位発進となった羽生。世界選手権王者のネーサン・チェンが世界最高得点の113.97点、鍵山が108.12点、宇野が105.90点をあげており、フリーでの巻き返しを余儀なくされた。

過去にもフリーで挽回しての優勝を経験している羽生であれば、安定構成をとればメダル圏内も濃厚だったが、今回は自身の限界を超えるべく、"4A(4回転半ジャンプ=クワッドアクセル)"の成功=五輪3連覇だとして、4A挑戦にこだわった。だが、17番手となった羽生の冒頭の4Aは回転不足で転倒。ミスの影響か、続く4回転サルコーも転倒してしまった。

その後はしっかり立て直した羽生は、演技後、四方へ向けて礼を繰り返し、氷上では悔しさをみせなかった。4A自体はISU(国際スケート連盟)公認大会での初実施例として認めれたものの、採点は188.06点。フリー3位で順位をあげたが、計283.21点の結果は総合4位だった。

羽生自身は順位決定後のインタビューでは言葉を選ぶようにして「あれが僕のすべて」「今回は上手く行かないことばかりだったけれど、一生懸命がんばりました」と語った。昨年11月に痛めた右足関節靭帯(じんたい)損傷も完治したわけではなく「(医療的に)かなりいろいろ手を加えていただきました」とし、無理を押しての挑戦だったことが伺えた。

 

こだわりを貫き通した羽生だが、語るほどに悔しさを噛みしめ、今後も挑戦を続けるについては明言しなかった。

チェンが4年前の雪辱で五輪王者に、鍵山がさらなる飛躍を期待させる銀

チェンは7本のジャンプ中、5本4種類の4回転ジャンプを繰り出し、TES(技術点)121.41点とPCS(演技構成点)97.22点とともにトップの点数で218.63点、SPと合わせて計332.60点で圧巻の優勝。平昌5位の雪辱を果たした。

2位の鍵山は、競技後に「団体やSPよりも緊張した」と話した通り、4回転ループでバランスを崩し、後半のコンビネーションでも回転不足があったものの、のびのびとした演技とジャンプはそれを帳消しにする内容だった。チェンに次ぐ201.93点をあげ、計310.05点で銀メダルを手にした鍵山は、コーチで父の正和さんに「親孝行できた」と喜んだ。

宇野はジャンプが安定しなかったものの、4回転5本を組み込んだ意欲的なプログラムを滑りきり、フリー5位の187.10点に。計293.00点で3位に食い込み、平昌の銀に続く銅メダルで2大会連続メダル獲得となった。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。