米国連邦検察は大規模な不正入学疑惑に絡み、仲介業者からの賄賂を受け取り名門大学への裏口入学を斡旋したとして、複数の大学スポーツ関係者とコーチを訴追した。
3月12日(日本時間13日)、ボストンの連邦検察はUSC、スタンフォード、UCLA、ジョージタウン、ウェイクフォレストなどの有名大学に生徒を入学させる目的で大学スポーツ関係者が不正に何千万円もの賄賂を受け取った証拠を明らかにし、一連の訴追を行ったと発表した。
Parents spent anywhere from $200k to $6.5 million to guarantee admissions to elite schools for their children #AdmissionsScam
— U.S. Attorney MA (@DMAnews1) 2019年3月12日
公開された訴訟文書によると、不正はカリフォルニア州にある非営利団体、「Key Worldwide Foundation」(KWF)を主宰するウィリアム・シンガーが主導して行われた。検察官は贈賄側の親たちは2011年から2019年2月の間におよそ2500万ドル(約28億円)をシンガーに支払い、シンガーは大学スポーツ関係者やコーチを買収して、生徒をスポーツ推薦枠や優待入学制度が利用できるように偽装行為を行ったとしている。
FBIが「Operation Varsity Blues」と呼ぶ33人の告発された親の中には女優のフェリシティ・ハフマン、ロリ・ロックリン、それに複数の企業経営者が含まれている。
疑惑には複数の大学関係者が関与したとされるが、捜査はUSC(南カリフォルニア大学)を中心に行われている。検察官によると、贈賄側の親からシンガーを通してUSCの上級アスレチック・ディレクターであるドナ・ヘイネルの口座に130万ドル(約1億4千万円)が支払われ、「24人以上」の数の生徒の入学が斡旋されたとしている。贈賄した親は生徒1人当たり5万ドル〜10万ドル(約550万円〜約1100万円)を支払った。
USCの3人のコーチ(元女子サッカーチームのヘッドコーチであるアリ・ホロスロシャヒン、そのアシスタントのローラ・ヤンケ、そして現水球水球チームのヘッドコーチであるヨバン・バビック)が疑惑に関与していたとされる。
USCは後にヘイネルとバビックを解雇したと発表した。
USCが発表した声明には「我々は大学に隠蔽されていた重大な不正行為があったことを政府が信じていることを理解している。我々は内部でも独自の調査を行っている。ドナ・ヘイネルとヨバン・バビックは既に解雇したが、今後も必要に応じてさらなる適正な処分を行うこともあり得る」とある。
起訴状はホロスロシャヒンがシンガーの顧客の1人を有望な女子サッカー選手であると偽ってUCLAに入学させたともしている。ホロスロシャヒンは当時すでにUSCを去っていたが、シンガーから2万5千ドル(約275万円)を受け取り、UCLAの男子サッカーチームのコーチであるホルヘ・サルセドを介して、顧客に関して偽装された情報をUCLAの女子サッカーチームのコーチへと渡したとされる。シンガーはさらにサルセドが経営するスポーツマーケティング会社に10万ドル(約1100万円)を送金し、入学を斡旋された生徒の親はその見返りとして25万ドル(約2750万円)をシンガーが主催する非営利団体KWFに「寄付」している。
起訴状には他に同じような疑惑に関与した人物として、元エール大学女子サッカーチームのコーチであるルディ・メレディス、ウェイクフォレスト大学女子バレーボールチームのコーチであるビル・ファーガソン、テキサス大学男子テニスチームのコーチであるマイケル・センター、元ジョージタウン大学テニスチームのコーチであるゴーディ・アーンスト(現ロードアイランド大学ヘッドコーチ)、そしてスタンフォード大学セーリングチームのコーチであるジョン・バンデモアーの名前が挙がっている。
起訴状に挙げられた関係者たちへの処分は素早く行われた。スタンフォード大学はバンデモアーを即日解雇したことを発表し、ファーガソンとセンターはそれぞれウェイクフォレスト大学とテキサス大学から停職処分を受けた。連邦検察から訴追された個人に加えて、これら疑惑に関わった人物を雇用していた大学はNCAA(全米大学体育協会)からの制裁処分を受ける可能性もある。
訳:角谷剛
元記事:Coaches, administrators charged in college admissions bribery scandal
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